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干潟の予備調査を終えて
諫干事業計画変更検証
編集後記

干潟の予備調査をおえて

福岡教育大学 高木 直子

 福岡空港からソウルヘ着き、ソウルからモッポまで電軍での小さな旅が始まった。私は韓国のNGOのインチョルさんの隣に座り、モッポまでの道のりを楽しむことができた。
  インチョルさんは野鳥ブックを片手に、出水の鶴や和白干潟に来る烏、人と見間違う程の大きな鳥の話をしてくれた。そして、いろんな話を、山の話や韓国や日本の話をした。話疲れてしばらく眠ってしまうと、小さな子供の声で目を覚まし、その子と一緒に遊び、乗り合わせたおじさんと楽しく家族や娘の話をして、その話をインチョルさんは韓国語がわからない私に英語で教えてくれた。夕方になると電車の右窓から、田園のかなたに広がる地平線に大きな夕日がゆつくりと色を変えながら落ちていった。薄暗くなると、今度はは電車の左窓から大きくてやさしい色をした丸い月が上ってきた。インチョルさんは、タ日や月は韓国語でこういうんだよと教えてくれた。日本では海にいかないと夕日が落ちるところを見れないし、月はいつの間にか頭の上に上っているのに、夕日が沈んだ後にちゃんと反対側の地平線から月が上ってくるのを見て、私が自然の一部として生きていることに改めて気づかされ感動した。きっと、夕日や月を見る度ごとに、モッポヘ向かう電車での韓国の人々の心ふれあいとやさしさを思い出すと思う。
  2日間での調査で目にした韓国の干潟は雄大で、豊かで,きれいで美しくて、泥質もあれば、砂泥質の干潟もあり場所ごとにその性質を変え、干潟の表面はゴカイやカニの塚で覆われ、命が育まれていることがはっきりとわかり、驚きの連続だった。干潟に網を立て、潮の満ち引きを利用して魚を捕るしかけや、カニの養殖地は、人が干潟の恵みを分けてもらっている関係を象徴していると感じた。韓国も日本も干潟の干拓計画があるが、この共同調査を通して日本で失敗したことを韓国で繰り返さないように、韓国の行政の対応など、 いいところは取り入れて、この豊かな干潟と共に人が生活を続けていけるようにしたいと思った。韓国の干潟が広大ですばらしく、調査で採集された生物が興味深かったことにも感動したが、それ以上に、韓国のNGOの方たちの心が広くて、やさしくて、豊かだったことが最も嬉しかったことだ。私のつたない英語力では「Thank you for your kindnesses」と言うのが精一杯だったが、私の心の中は感謝の気持ちと、これから韓国の人たちと一緒に干潟の保全へ向けてがんばって行きたいという思いでいいっぱいだった。
  日本に帰ってきて、韓国のNGOの人が捜していた本があった。その本は1930年に発行された日本の地理風俗の本だったが、その本の中に朝鮮についての記述があった。日本統治下の韓国の記録は戦後日本に持ちかえられ、今その資料を韓国で手に入れにくいのかと憶測した。歴史は昔だけのものでなく、現在の私たちにつながっているものだと実感した。この調査を通して日韓の新しい関係を築きたいと思う。干潟のみならず、韓国の方と心を通わせ、そして、歴史についても考えさせられたこの調査は、私にとって意味深いものとなった。

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